【BL】ひらゝ舞ふ
16
「……良い。」
兼松のその一言で春三と林太郎は下がる。
「悪かったよ春三さん、これで離れに棲んでいる圓谷に角がたってしまったら……」
春三の背中を見ながら呟く。
春三は無言で振り向く。なんだか不気味だった。
「……凄いよ林太郎君、父さんの威圧に臆せず立ち向かったのは君と八尋兄さんくらいだ。」
息を巻いて春三は林太郎の両手を握りしめた。
林太郎は叱責を覚悟していたので拍子抜けした。
「父さんはよく初対面の人間を試すんだよ。林太郎君はかなり高得点だった筈。そうでなければ、追い出されていた。そういう人だ。」
春三が僅かに翳り帯びた。
「俺はただ、ああいう権力に媚びたくなっかっただけだ。」
厄介になるとしても自分を見失いたくない。潰れても何度でも立ち上がる、それが林太郎が今まで学んだことだった。
兼松のその一言で春三と林太郎は下がる。
「悪かったよ春三さん、これで離れに棲んでいる圓谷に角がたってしまったら……」
春三の背中を見ながら呟く。
春三は無言で振り向く。なんだか不気味だった。
「……凄いよ林太郎君、父さんの威圧に臆せず立ち向かったのは君と八尋兄さんくらいだ。」
息を巻いて春三は林太郎の両手を握りしめた。
林太郎は叱責を覚悟していたので拍子抜けした。
「父さんはよく初対面の人間を試すんだよ。林太郎君はかなり高得点だった筈。そうでなければ、追い出されていた。そういう人だ。」
春三が僅かに翳り帯びた。
「俺はただ、ああいう権力に媚びたくなっかっただけだ。」
厄介になるとしても自分を見失いたくない。潰れても何度でも立ち上がる、それが林太郎が今まで学んだことだった。