★恋愛コンプレ★
時計を見ると09時を
まわっていた。
‘ガチャン’
ドアを開く。
いつもとは違く真っ暗。
「ただいまー!!」
返事はない。
「なんでだろう??」
お姉ちゃんはデートで…
パパは夜勤…
ママは……
‘パチンッ’
「お帰りー!!」
「うわぁっ!!反応遅っ!!
ただいま。」
どうやらママは寝ていた
みたい。
起こしちゃって悪かった
という罪悪感が残る。
わたしはそのまま洗面所へ
向かった。
いつもと違う石鹸の香り。
「ママぁー??
この石鹸どうしたの??」
「あぁ!!
会社で貰ったの。
ところでお姉ちゃんは??」
にっこり笑ってわたしに
問いかける。
「ん??お姉ちゃんなら
彼氏さんとデートだって。
いいょね…。」
「じゃあ椎名もつくれば
いいじゃない!?」
「だーかーらー、
中学入学したばっかりじゃ
分からないでしょ?!」
ついムキになってしまう。
そうなるのも無理はない
と思う。
今までずっと恋愛なんて
してこなかったし、
ましてや人を見ないで
付き合うのはどうかと
思う。
でもママはあっさり
流してしまった。
‘ガタン’
‘ゴクリ ゴクリ’
喉をならす。
麦茶を飲むわたし。
「ね…。お姉ちゃんの彼氏
見たことある??」
ママが言った。
ママの顔は真剣そのもの。
「うーんと、」
ゆっくり記憶を探る。
「あっ!!見たことある!!
優しそうだし…結構かっこいい
…いい方だと思うよ?!」
きっとママは凄く
心配なんだと思う。