短編■ 逆上ギャップ
彼、正野 進は染めたのかと言われるような、痛んだのかと思われるような曖昧な色をした黒っぽい髪をしており、
正統派な爽やかさのある短さがよく似合う。
一重の涼しい顔立ちは鼻や唇、全体のバランスがよくすっきりしている。
清潔で正に硬派といった容姿だろう、恐らく保守的な中年女性層から受けの良い見た目だ。
同い年、同じクラス、私の恋人。
そんな進はどっちかと言わなくても、優等生タイプと言うやつだ。
塾に行っているし、まだ高二なのに受験勉強をしているし、将来は税理士になりたいらしく、最近は資格の勉強にも興味があるようだ。
『てか関村さんって私そんな話さない』
彼女をさしおいてクラスの女子と遊ぶ進に、凄く遠回りをしてヤキモチを伝えたのだが、
『じゃあ話せば?』と、あっさり言う辺りが憎たらしい。