短編■ 逆上ギャップ


『ずっと思ってたんだ。礼子の無愛想な顔を歪ませるのは俺だなって』

『は?! きもい きしょい それシラフ?! まじ無理!!え、ほんと…やだセクハラ!!

なんかわざと臭い、てゆか正野ギャップがきもい!! 全然違った、がっかりした!! もっと…なんか紳士かと……なのに違うしなんかショック!!

なんか危ない、多分 正野は多重人格だから!!』


恥ずかしくて一気にまくし立てたというのに、涼しい顔に何の変化もない。

わざとなのか、素なのか、冗談なのか、本当なのか、もうよく分からなかった。

ただ私に無愛想で無口で半ギレな女の子を求めていないことがよく分かった。

爽やかな印象は見事に砕け、改めて人間イメージとは違うのだと分かった。

(むしろ私も……っやだキショイ!!)

今は何をどうしようが、頭の中に蘇るのは、私の好きな人…


『礼子だって同じじゃね? だってそんな俺にキスされたら女の子らしくなってたじゃん? 別人だった癖に』


憎いくらい整った…カッコイイ顔をして何を言うのだろう。



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