短編■ 逆上ギャップ


『は? やだ、話すことないし』

可愛いげなくフンと目を閉じる私の様子に何も思わないらしく、カチカチメールを叩く音が響いた。


恋愛時の進の性格は素っ気ない。

普段はアツイ癖に(深夜に失恋した友達に駆け付けて河原で話を聞いたり、そんなに仲良くない女子が休んでも授業ノートを書いてあげたり)、

クラスに馴染めない私の彼氏となり付き合ってくれたり――…






『ぎゃあ!! 五木さん!!ごめん!!ごめんね!!』

顔面蒼白で謝罪をするのは、同じクラスの関村さん。

『別に』と、一言で終わらせて、『ばかーっ殺されるよ?!』と去り際に関村さんの友達に囁かれるのが、この私。

うっかり弾みで机にぶつかり、筆箱を落としたくらいで殺すなんて、それはどういうクレーマーなのだろうか。

(はあ?!私そんなキレ芸じゃありませんからー!!!てか全然気にしてないんですけど)

“大丈夫だよ”ではなく、“別に”と言ってしまう私は本当に可愛くない。


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