短編■ 逆上ギャップ


『うわぁっ五木さんにガン飛ばされた!! なんか怒ってるぜ』『怖ぇ!! 美人は性格わりぃからなー』

ただ目が合っただけで、クラスの男子のこのありさま。


そう、私はクラスに馴染めないでいる。

本当は仲良くしたい人に、ついつい素っ気ない態度をとってしまう稀な性質をしているらしく、

怖いとかキツイというイメージをもたれていて、治したいのになかなか治らない。


私の印象を悪くするのは、妙にハッキリした顔立ちのせいが一割は影響していると思う。

アイラインを引いたら舞台メイクのようになるので、迂闊にメイクは出来ない。

せいぜい眉毛とリップ、あとは少しでも柔らかくなるようにと、オレンジ色のチーク。


『礼子ー、そろそろ帰るか?』

『なんでいちいち聞くの?!…普通に帰るし』

ふわりと近付いてくるのは進。

進が歩く横を同じ速さでついて歩く。

『五木さんと正野ってキャラ違うくね?』『ちぐはぐだよなー』

付き合いだして二ヶ月。
私 五木礼子と彼 正野進は、クラス公認の非現実的なカップルのようだ。


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