短編■ 逆上ギャップ
正直ベタ惚れ状態の私。進が思っているより全然進が大好きな私。
ただ彼に好きだなんて一回も言ったことがないけれど。
むしろ…
『礼子、たまには寄り道してかない?』
『は?! だるいし。ヤダ!!』
『んーでも俺欲しいCDあるんだけど』
『あっそ。じゃあ正野一人で行きなよ。私帰る』
『…そっか、じゃあ家デートな?』
『別に何でもいい』
こんな感じで、なぜか会話はいつも半ギレで返してしまうし、私は嫌われるような我が儘発言ばかりをしていたりする。
本当は二人で映画やショッピング、カラオケやボーリングに行きたいのだけれど、
街中を二人で歩いて、“釣り合ってない”と言われるのが辛いから、
外でデートなんてするのが恐れ多く、したことがない。
いつもいつも、付き合って二ヶ月…進の家ばかりにお邪魔させてもらっている。
(…自宅に招かないのは、家族に冷やかされるのが嫌だし。部屋が柄にもなく可愛らしいカントリー調なのがバレたくないし)
『あ、関村さんから電話あったんだ。気付かなかった』