ひこうき雲
*恋愛
「今日からバイトすることになった、西川さんです。皆さん、最初はしっかりサポートしてあげて下さいね」
「西川あまねです。バイトの経験はないのですが、早く仕事を覚えて頑張りたいですっ!」
店長からの紹介に続けて、
必死に声をあげた。
緊張で変な汗が額をつたう。
すべて言い終えてから少し、
安心感からため息がもれた。
─でも…
今思えば、なんて稚拙な挨拶だったんだろう。
用意しておいた台詞を、ただそのまま言えばいいだけなのに。
自己紹介って無駄に緊張する。
その場にいる人たちが
自分を睨みつけてる気さえしてくる。
なんて、被害妄想もいいとこだけど。
そんなこんなで始まった
バイト初日は、
店内を案内されて、少しだけレジを教わって終わった。
そう、あたしは今日から
近所のスーパーでレジ打ちをすることにしたのだ。
お小遣ほしさに始めたバイト。
不安だらけだけど、
同じ職場には大親友の一夏もいるし!
まあ、なんとかなるでしょっ。
早くお給料欲しいなあー。
軽い足取りで、気づけばアパートまで来ていた。