ひこうき雲




それからしばらくして、
あたしもバイトに慣れて
少し、余裕が出てきた。


バイト先の人の名前と顔も
徐々に覚えられてるし。

うんうん、なんかいい感じ。



休日はどっちか必ずバイト、
平日も学校終わりにバイト。

毎日がそんな繰り返しになった。



接客って……
確かに疲れるしストレス溜まるけど

やり甲斐がある。





なんか、楽しいかもっ!







「お疲れさん、頑張ってるね」


「お疲れ様でーす……えっと、野田さんっ!」


商品を出しながら
顔をあげると、そこには野田さんが立っていた。



最近話すようになって
よく声をかけてくれる。

バイトの女の子たちの間でも
しょっちゅう話題になるくらい
イケメンな先輩だ。


よく笑うそのなつっこい笑顔が
モテる秘訣なのかも?



そして、話しやすく優しい。





「もうバイト慣れた?」

残りの商品が入った段ボールを
持ち上げながら野田さんは言う。


「はい、だいぶできるようになりましたよ!ってゆうかそれ、あたし片付けますよ。野田さんの仕事増えちゃいますし…」

もともとはあたしが頼まれてたんだし…。

歩き出す野田さんを追った。



「こんな重いの、女の子に持たせて先帰れるかよ」


そう、
野田さんはこんなセリフを
たやすく言えちゃったりもする。



"女の子"



なんだかやけに
胸に響いた。


「…すいません、ありがとうございます」

あたしはもう、
何も言わずに野田さんの後についていった。



任せとけ!
もっと頼っていいんだぞ


って。

本当に頼もしかったんだ。



< 3 / 7 >

この作品をシェア

pagetop