ひこうき雲
「言ったよ、言いました。お酒飲んで覚えてない遼希が悪いんじゃん!とにかくあたしは言ったから。一日会えないだけで、ちょっと連絡取れないだけで八つ当たりすんの、やめてくれるかな!?…じゃあ」
ピッ、…ツーツーツーツー…
言った。
全部、言った。
むかつく。むかついた。
仕事のストレスも
吐き出した感じがした。
ガキ
じゃん、遼希。
頭の中に、
野田さんが浮かんだ。
野田さん?
…なぜ?
まあいっか。
今日は遼希のアパートにも
行かなかった。
少しほっとくつもりで。
本屋に立ち寄って
雑誌だけ買ってまっすぐ帰宅。
早く寝ちゃおう。
疲れてるんだな、きっと。
明日になったら
遼希にも謝っておこう。
それで
また
元通りになるはず。
あたしは
何も考えていなかった。