姫輝 マリア
「どうした?」
「……女」
「は?」
「…意味分かんない事言ってねーで、早く開けろよ」
「…扉……壊されてる」
「はあ?んなワけ……」
秋斗が拓の傍に行って固まった
「…本当…だ」
「マジかよ…」
優も固まった
俺らも見てみて絶句した。
そこには、鳥や蝶々達に囲まれて歌ってる女がいた。
透き通るような歌声。
金色の髪に、大きな青い瞳。
モデル並のスタイルに小顔。
その頬にはキレイな光が通っていた。
まるで夢でも見てるんじゃないかと思えるくらいの美人。
でも…何で女がここに…?
俺は近よった
女は歌うのをやめて、ゆっくりと俺を見た
真正面から見ると、本当にこの世の者とは思えない程の綺麗な女だった。
頬には涙が伝わってる
「……なぁ。…アレお前がか?」
俺は、壊れてるドアを指差した
女はゆっくりと指先を見る
「…そうだよ。ゴメンね?」
女は俺を見た
…ありえねぇ。
この細い体で?
…それもこの女が?