三角形(仮)
太一が明日香の隣に座る。
「すぐるくんはどんな子がタイプ?」
上目使いで真帆に聞かれる。
「んー……どうだろ?」
「え、じゃ私みたいな感じは?」
「いいと思うよ」
「本当に?」
勝手に腕を絡められ、身体が密着する。
顔も近い。
「ほんと」
「嬉しいー。私就活中で一人だけ黒髪だから、浮いてると思ってたの。それにすぐるくん私のことタイプじゃなさそうだったから。」
「それで黒髪だったんだ。ていうか、逆に黒髪似合ってるよ、真帆ちゃん美人だし。」
俺は言いながら微笑んで見せ、髪を撫でる。
…いけない、つい仕事の癖が出た。
いや、仕事病というか、ココと付き合う前までの俺は元々こうだったのかもしれない。
本来の俺に戻っただけだ。
真帆を見ると、頬を赤く染めて嬉しそうな表情をしている。
あーヤバい、気のある素振りをしてしまった。
「ちょっとトイレ」
俺は一旦トイレへ避難する。
。