完全秘密主義恋愛♥


本当は分かってたよ。

瑆乃も瑆のことが好きなんだって。


でも、

何も言わなかったじゃない。



瑆乃は優しいから、あたしが瑆のことが好きだって言ったら、何も言わずに身を引いてくれることも分かってた。


瑆乃の優しい性格を上手く利用したの。


そう、あたしは卑怯なのよ。


なのにアンタはあたしを『本当の』親友とでも思っているかのように良くしてくれて。


滑稽だったよ。


滑稽で、ウザかった。


疎ましかったのよ。


だから、あたしはアンタを最低な方法で傷付けたつもりだった。


だけど、そうじゃなかったみたいね。


傷付くどころか、受けて立ったね。


ホント馬鹿よ。


いいわ、闘ってやるわ。


今度は正々堂々と。


それで、どちらかが勝っても負けても恨みっこなしよ。



希は先を歩く瑆乃の隣に追いつこうと、歩調を速めた。


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