完全秘密主義恋愛♥
ーーーーー
ーー


「テーマは“意外性”なんで」

安藤が黒板をバックにバシっと言いきった。

黒板には達筆な字で書かれた『意外性。』の四文字。

むむむ…と唸るクラスメイト。

「じゃあ、お店のメニューも“意外性”のあるものの方がいいってこと?」

ある女子が挙手して訊いた。

「うん、そうだな」

と、安藤。

ハイハイ!と野球部の男子が挙手した。

「フツーこういう喫茶店のメニューって、インスタントのコーヒーとか紅茶とかと、買ってきたクッキーとかじゃん?それじゃあフツーなんで、敢えてインスタントじゃなくて本格派でやってみるとか!」

ざわめく教室。

「何か、すごいね。高校の文化祭って」

瑆乃は後ろを振り返って言った。

「まあ、こんなもんでしょー」

自分の毛先を明かりにかざして見ながら宝は言った。

くそ、コイツ全然毛先傷んでないし。

あたしは恨みがましく宝の艶やかな髪を見た。

「咲田(さきた)、詳しく」

咲田と呼ばれた先ほどの野球部の男子は微妙に照れながら言った。

「だから、飲み物はインスタントじゃなくて、豆挽いたりとか、茶葉から淹れるとかしたりでさ。食べ物はー…、あらかじめ準備しておいた手作りのスイーツ出したりとか」

< 77 / 147 >

この作品をシェア

pagetop