完全秘密主義恋愛♥
綿雲

扁平雲

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あたしは家に帰ってから制服を部屋にテキトーに脱ぎ捨て、両親の寝室のベッドに寝転がり窓から見える空をぼーっと眺めていた。
いや、脱ぎ捨てたとはいえショーパンとTシャツは着てるよ。


耳にはイヤホン装着。

愛用のiPodから流れるのは、ドビュッシー作曲「亜麻色の髪の乙女」。


始めは静かに喋りだすように


それから、だんだん激しい旋律の展開


だけど、優しさは忘れていないよ、と


ささやくように。



この曲は聞き心地がよくて何度も再生してたら、いつのまにか再生回数がNo.ワンになってた。



気持ちいいなぁ。


空は、薄暗い青で夜との中間。
流れる綿雲は、夕日を浴びて、薄いピンクに染まっている。


網戸から処暑の風が優しく入ってくる。



こういう時間のときだけ、自分を忘れられる。



なんだか、キュッと胸を締めつけられたような気持ちになった。





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