幸せになりたい。

外に出た瞬間、
刺すような冷たい風が
吹き付ける。


「さっぶー!!」

「ちえ、あたし親から連絡来たからダッシュで帰るわ!」

「わかった、気をつけてね〜!」

「俺らはラーメンでも食って帰るかあ」


男子たちも自転車をこぎだす。

あたしも凍りそうな手で
自転車にカギを差し込む。


「ちえ」

「へっ?」


いきなり名前を呼ばれて
ぱっと振り返ると

高田勇気。


「高田くんはラーメン食べに行かないの?」

「おぅ。さみーし。ちえ一人みたいだし。」


え。え。え。
どういうことですか…―!?


「送ってくわ」


そういうことですか!!!


「いいよ、あの、寒いし!」


必死で断るあたしの顔は
きっと真っ赤だと思う。

夜でよかった…


「いいから。家あっちだろ?俺もだからさ」


高田くんの指差す方向は
たしかにあたしの家の方。



「行くぞ」
とあたしの返事を待つ前に
彼は自転車をこぎだした。


「待ってよー!」


強引な人、って思ったけど
全然嫌じゃなかった。


むしろこんな男らしい人が
あたしの周りにいないから
新鮮っていうか…


少しドキドキした。
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