リョウとシュウ ~ドラゴン退治の旅~
「リョウ、お前やるなー」
「頭触んな!気持ち悪いから!」
「悪い、悪い」

俺はその血を継いだのか
それともその地で育ったからなのかは分からないけれど
俺は物心がついたときから魔法が使えた。

「ふー。さすが、魔法使いの子供やな」

そうだ…。
魔女って言っちゃダメなんだった…。
魔女は人間に危害を与えるんだってさ。
町長の受け売りだけど…。

「シュウ…こいつ…」
「ん?」

「……リョウ?リョウなの?」
「う、うん…」
「なに?知り合い…?」

「まぁな」

マサキ。
呪われた地で育った女。

「久し…ぶりだね…」
「あぁ…」

マサキはあそこが嫌で、逃げだした。

「リョウはもう魔法…使えるんだ」
「あぁ……」

「えっ、なんや?どういうつながり?」
「なに、昔の話だよ」
「リョウ…」
「あんたは逃げだしたんだ。あの、地獄から…」

そうだ…。
あそこはまさに地獄。
生きるか死ぬかの狭間。
ずっと、恐怖に脅えながらみんな生きていたんだ。

「なのに、お前がこんなところでのうのうと生きているなんて…」
「リョウ、お前…やめぇや」

こいつが、生きている…それがこんなに腹立たしいなんて…。

「リョウ…」
「俺の名を呼ぶな!」
「リョウ…」

「いいから、ここから立ち去ってくれ…」

じゃないと…俺…マサキ…殺しそう…。
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