水色のエプロン
しかし、その犬を家につれて帰ったのはいいが。体が雨と泥で、だいぶ汚れてしまっていた。
「お父さんとお母さんに、この子を紹介する前に、まずこの汚れを何とかしてあげなくっちゃ。」
 私はそう思い、家に着くと早々に、その犬をバスルームに連れて行った。最初に毛玉をといてあげたかったけど、犬はもう雨でびしょ濡れだったから、それを諦め、私はブラッシングをしないまま、その子をシャンプーすることにした。
犬を飼っているわけではない私は、犬用のシャンプーを持っていなかった。仕方なく自分がいつも使っている人間用のシャンプーを使うことにした。
だけど犬のキューティクルは人間のものより、何倍も薄くてデリケートだから、そのまま人間用のシャンプーを使うには刺激が強すぎた。私は応急処置として、そのシャンプーを何倍にも薄めて使うことにした。スポンジを使い、しっかり丁寧に泡立てた。被毛への刺激を抑えるために。そしてゆっくり、その子の体を優しく洗った。最後にブローの時にもつれが取れやすいように、リンスも同様に薄めて。 
シャンプー後はタオルで確りと水気を取り、学校の実習で使っているドライヤーとスリッカーを用意し、バスタブの蓋の上で、その子のブローをした。スリッカーとは細い針金状のブラシの付いた専用の櫛のこと。
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