水色のエプロン
野田さんはそう言うと、すぐにお店を後にした。
 私は残されたバークレイの顔を覗き込んだ。
「大きいのね、バークレイ。」
 バークレイは、とてもがっしりとした体つきでビーグルのスタンダード13~15インチを軽くオーバーする大きな犬だった。
「俺様には猟犬の血がながれてるんだ。強くって、大きいに決まってるだろう。」
 バークレイはそういい耳の後ろの辺を脚を起用に使ってかき始めた。
「バークレイって威張りん坊なのね。耳の後ろがかゆいの?シャンプーの時よく洗ってあげるわ。さぁお迎えが来る前にシャンプーを済ませてしまいましょ。」
 私はそう言い、バークレイのリードを引き寄せようとした。しかし、それと同時にバークレイはふざけて店内を駆け巡ろうとした。
「ここまで、おいでーっと。」
 突然走ろうとしたのでリードが引っ張られ危うく手を攣ってしまいそうだった。
「危ないじゃない突然走り出したりしたら。」
 私はリードを短く強く握った。
「シャンプーするわよ。」
 バークレイの首に掛かるリードを引くと、今度はテコでもそこを動こうとしない。座りこんだままバークレイは口を開いた。
「俺様はシャンプーが大好きなんだぁ。特に夏場水を浴びながらのシャンプーは最高なんだぜ。」
 バークレイはそう言って目を閉じ、水浴びをしているところを想像しているようだった。
「ぶるぶるぶるぶる~。」
 バークレイが水しぶきを飛ばすまねをして見せた。
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