水色のエプロン
耳の後ろをかゆがっていたので、その辺りもよく洗ってあげた。
「ぐーぐーもうちょい強い方がいいぞ。」
 そんな注文をつけるのはかまわないが、バークレイは終始落ち着かない様子だった。
「ぶるぶるぶる~。」
「やめてってば。泡が私にまで掛かっちゃうじゃない。ちゃんと耳にも目にも泡が入らないように丁寧に洗ってあげてるっていうのに。」
「早く水をかけてくれぃ。」
 バークレイはそう言って前後の脚をばたつかせた。
「お願いだからじっとしてて。」
 最後にリンスをすすぎバスタオルにバークレイを包んでもう一度台の上にのせた。
「ほら、バークレイがじっとしていてくれないから私のエプロンまでこんなに濡れちゃったわ。」
「濡れたら乾かせばいいってことだろう。ガタガタ言わなくたっていいじゃないか。」
 バークレイはそう言って今度は体を拭いているタオルの端を銜えて振り回そうとした。
「こら!これは咬んじゃだめよ。」
 私はバークレイの口からタオルを取り戻した。
「俺様の体だってもうほとんど乾いた。ドライヤーはしなくていいから。おいらを外に連れてってくれ。」
「何を勝手なことばっかり言ってるのよ。だめよ。」
「いいじゃないか。」
「だめだってば。」
「ちょっとならいいだろ!」
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