水色のエプロン
シングルコートのシルキーな毛は、思ったよりもすんなりと解け、その犬は見違えるほど白くて美しい犬になった。当時、私は専門学校2年生、トリミングに対して一番好奇心旺盛だったから、私は迷うことなく、そのままその犬の皮毛をカットすることにした。
 お風呂場のバスタブの上でのカットは凄くやりにくかったけど、私はその犬の体にまず、5ミリのバリカンを刈けた。
 四肢はハサミでカットをする。学校で習った通りに、バリカンをかけたラインをぼかしながらゆっくりとカットした。内股の毛も同様にコームでとかしながら丁寧に。
 うまく出来たかは、自信はなかったけど二時間ほどかけ、オリジナルのブーツカットが完成した。顔は丸く目の周りをすっきりカットした。
 ドライヤーで毛を払い私はその犬を抱きしめた。
 初めて私が一人でトリミングをした犬だ。
 脱衣所にその犬を放し私はバスルームの掃除をした。カットをするのは大変だったが、掃除は落ちた毛を流して集めて拾うだけだったのでとっても簡単だった。
 私は左手に犬を抱え、右手に道具を抱え込んで2階の自分の部屋に駆け戻った。
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