水色のエプロン
「やだ、どうしてバークレイがここにいるのよ。さてはゲージの扉をこじ開けたのね?信じられない。」
 バークレイは私の言葉なんか構いなしに裏庭を走り回った。そして犬小屋から、出ようとしないフレディーに向かってこう言った。
「フレディーはつまらないやつだな。」
 それでもフレディーは犬小屋から顔を出すことは無かった。
「俺様は引っ張りっこが得意なんだ。おいお前!俺様の相手をしろよ。」
 バークレイはフレディーに相手にされないと気付くと今度は私に向かってそう叫んだ。
「さっきはせっかく、おとなしくいい子だって褒めてあげたのに、それを撤回させてもらうわ。それに今、私には遊んでる暇は無いの。これからまたお客さんが来るんだから、早くこの大事なエプロンを乾かさなくちゃ。」
 私はこの、犬と話が出来るエプロンを今よりもっと大事にしたいと思った。
「嫌だ、俺様と遊んでくれ。」
 バークレイはわがままにそう叫んだ。
「ゲージの中で、おとなしくお迎えが来るのを待つのよ。まずこのエプロンを干させて、あなたが暴れたせいでこんなに濡れちゃったのよ。」
「嫌だ!遊ぶ。」
 聞き分けの無いバークレイを無視して私はエプロンを外し、物干し竿に干そうとした。
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