水色のエプロン
ベッドに横になり、小さな犬を胸の上に乗せた。黒い瞳が私のことをじっと見つめていた。
「そうだ、名前を付けなくっちゃね。」
 私は目を閉じて名前を考えた。
「なにか新しいとか、最初のとか、そう言う意味の名前を付けたいわ。だってもしも家で飼えるようになったら、初めて飼う私の犬になるんですもの。」
 いくつもの名前が浮かんでは消えた。
「そうだ!ネオって名前はどう?」
 私は小さなマルチーズの目を見つめながらそう言った。
「昔読んだ何かの本で、ネオって言葉の言語はギリシャ語で新しいの意味があるって書いてあったのを見たわ。」
 ネオも私の瞳をじっと見つめ返していた。
「ネオ。」
 私はもう一度名前を呼んでネオの頭を優しくなでた。
「おまえの名前はネオで決まり。よろしく、ネオはおとなしくっていい子だね。美枝にも聞かれてたけど、ネオは何処から来たの?飼い主さんは?」
 もちろん答えてくれるはずもなかった。
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