水色のエプロン
そうこうしているうちに、壁に掛かる時計は九時五十五分を差していた。少し早いけど扉に掛かるプレートをクローズからオープンに反した、もうすぐだ。客さんたちがやってくる。
 胸の鼓動は高鳴った。凄く緊張した。するとその時、店の裏庭の扉が開いた。視線を向けるとのしのしとゆっくりフレデリックが店の中へと入ってきた。
「なんだ、フレデリックかぁ、、。」
 フレデリックはまた、私と目もあわせることなく、どっしりとカウンターの裏に腰を下した。
「あっ、さっきはありがとう。凄くたすかったわ。」
 私はフレデリックのそばにより彼の頭をそっとなでた。
「おまえの飼い主さんは、どんな人なの?いつもお店を綺麗に、お掃除してるんだね。綺麗だったから、開店の準備がすぐ終わっちゃったよ。」
 フレデリックはあくびをして、そのまま眠り込んだ。
「さてと、、。」
 私は予約台帳に書いてある今日のお客さんのカルテを探した。カウンターの下には沢山のワンちゃん達のカルテが置いてあった。カルテには一頭一頭のワンちゃんの特徴が書き込まれていた。
 まずは十時半からの伊藤小太郎ちゃん、柴犬、カルテにはシャンプー嫌い、爪きり耳掃除などはよい子でおとなしい、と書いてあった。柴犬はシャンプーが嫌いな子がなぜか多かった。パピーズハウスにくる柴犬たちも、時にはおとなしくシャンプーが好きな子もいたけれど大半の子はシャンプー時に大暴れをした。
「暴れて私まで水をかけられなければいいけど・・・。」
 そんなことを考えていると時間はもう十時二十五分になっていた。
「よし、、。頑張るぞ!」
< 19 / 132 >

この作品をシェア

pagetop