水色のエプロン
「心配しないで、シャンプーが終われば、ちゃんとお迎えにきてくれるから。ほらおいで。」
 私は小太郎のリードを軽く引きトリミング室へと連れて行った。
 トリミング室に入ると、小太郎を抱きかかえトリミング台にそっと乗せた。アームの高さを調節してリードを掛ける。
「準備が出来たよ。」
小太郎にそう声を掛け頭をなでた。私はまず始めに、小太郎の爪きりを始めることにした。後脚からゆっくりと。小太郎は半透明な色の爪をしていたので、爪の中の血管の長さが一目で見えて切りやすかった。それにカルテに書いてあった通り、小太郎もとってもおとなしい。爪きりの時に小太郎の足のうらの毛が伸びていることに気付き、足のうらの毛をクリッパーで刈ることにした。これも小太郎はおとなしくさせてくれた。耳掃除も凄くおとなしい。
「いいこね、小太郎。」
一通り細かい作業を終え、続いて伊藤さんが気にしていた無駄毛取りをすることにした。余分な毛がつまっていると、シャンプーの時、泡立ちにくかったり、地肌まで確り汚れを落とすことができなかったりすることがあった。ブローをしてもなかなか乾きにくかったり、そんな失敗を元に、私はシャンプー前に確りと丁寧にブラッシングをし無駄毛を先に取り除くことにした。
小太郎の背中は、一度軽くコームを通しただけで凄い毛が抜けた。
「わぁ、これじゃ飼い主さんも大変だわ。」
 私は沢山抜ける毛が落ち着くまでスリッカーでブラッシングをし、何度もコームを掛け、毛が落ち着くまでそれを何度も繰り返した。
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