水色のエプロン
〝手間を惜しんじゃだめ〟
 これも店長の口癖、めんどうくさがり屋の私だけど、その言葉はいつしか私の習慣として身に付いていた。
「よし、このぐらい減ればシャンプーに入れるわね。」
 ある程度毛げが抜けなくなると、私は小太郎の首からリードを外し、そのまま抱きかかえてシャンプー台へと連れて行った。シャンプー台に入るとすぐに、小太郎は何かを察知したらしく突然さっきとはうって変わって落ち着きを無くし始めた。
「こらこらこら!小太郎!おちついて。」
 シャンプー台から飛び出して落ちてしまったら怖いので、私はシャンプー時用のリードを小太郎の首に確りと掛けた。
「これで逃げたり出来ないからね。」
 シャワーのお湯を出したとたんに小太郎はより一層暴れだした。ゆっくり体からシャワーを掛けようとしてはいても、小太郎のあまりの暴れように、うまくはいかない。
「こら!小太郎じっとして!」
 一通り小太郎の体が濡れたのでシャンプーをつけてあわ立てた。
「じっとしてれば気持ちいんだからね!」
 そう小太郎に言った瞬間、ブルブルブルブル!!
「うわぁ!」
 小太郎はブルブルっと体の水分を飛ばそうとした。そのせいで私の顔も体も小次郎から飛んだ泡と水しぶきでびちゃびちゃに・・・。
「ちょっとやめてよ!もう!」
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