水色のエプロン

フレデリックという犬。

「さっき、おいらにそのハンバーグをくれるって言ったよな。」
　誰もいないはずの店内から、何者かの声がした。私はその声に驚き店内を見渡した。だけどそこには誰もいない。
「気のせいよね･･･。」
　私は気のせいだと自分で自分に言い聞かせ、もう一度お弁当を食べようとした。
「気のせいなんかじゃない！さっきオイラにくれるって言っただろ！」
　まさか･･･。
　そんなはずがない。
　だけど、私はその言葉に心当たりがあった。
「フレデリック？いまあなたしゃべった？」
　フレデリックの方を振り向くと、私のお弁当のおかずをじっと見つめている。
「朝鍵を見つけてもらう代わりに、私のお弁当のハンバーグあげるって言ったこと？」
　私は恐る恐るフレデリックに声を掛けた。
「そうに決まってるだろ？早くオイラにそのハンバーグをおくれよ。」
　間違いなかった、フレデリックは間違いなく人間の言葉を理解し、そして話していた。
「う嘘でしょ？･･･。犬がしゃべった･･･。」
　もう少しで握っていたお箸を落としてしまいそうだった。
「何て事なの！？」
　驚きすぎて、でもなんだかうれしくて夢なのか現実なのかもうわからなくなっていた。
「フレデリック･･･。あなた凄いわ！」
　私はフレデリックに近づこうとした。
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表紙・目次

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