水色のエプロン
「よかった、オイラ間違って玉ネギ食べちまった時は、いっつも後から具合が悪くなっちまうんだ・・・。よかった入ってなくって。」
「きっとフレディーだけじゃないわ、ワンちゃんはみんな玉ネギが食べられないのよ。玉ネギや長ネギの中には犬の血液の中の赤血球を壊してしまう(アリルプロピジュルファイド)成分が含まれているの、その成分によって犬が玉ネギを食べてしまうと赤血球が破壊されて、急性の貧血や血尿まで引き起こすことがあるのよ。それを玉ネギ中毒って呼ぶの。」
「ぉお怖っ・・・。オイラは前に玉ネギを食べた時、なんだかフラフラしちまって一日中具合が悪くなったんだ。だけど血尿なんかまでしちまったらと思うと、寒気がするよ・・・。」
「もっと酷い場合には玉ネギ中毒で目の結膜が白くなったり、嘔吐や下痢、心臓の鼓動が早くなったり、そして・・・。」
「ももういいよ!そんな怖い話は・・・!」
「ごめんごめん、とにかく食いしん坊のフレディーは特に気をつけなくっちゃね。玉ネギ中毒は加熱調理しても変化はないものだからハンバーグや、すき焼きの残り物でだって中毒症状が出でしまうから。美味しそうなものがあったからってすぐに飛びついたりしないようにね。」
「オイラはそんな食いしん坊じゃないやい!」
 そう言ってフレディーは、またカウンターの裏で居眠りを始めた。
「機嫌損ねちゃったかしら。」
 フレディーと話せたこと、その全てがうれしくてなんだかウキウキした気分になった。私は急いで残りのお弁当をたいらげた。

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