水色のエプロン
だからより一層初心者には難しく感じるのだ・・・。

「チワワやパピヨンのお尻の毛をカットする時は、コームでよく毛をかき出し、坐骨端から飛接に向かって半円を描く用にカットをすること。左右の中心から半分に分けて、桃のように丸いお尻を作る。」


数週間前に店長に教わったやり方を頭の中でイメージしてみた。
 確りと自然にコームを使い毛を逆立てる。私は仕上げバサミで最初からバッサリと長い毛を切り落とす勇気が無かったので、最初にすきバサミを使って余分な毛を粗方落とすことにした。こうすることによって、大きくて目立つハサミの後や、穴を開ける心配がなくなる。
 隙バサミはとても便利な道具で、逆に仕上げバサミで切った部分の後に使い、直線的なラインをぼかしたり、やわらかさ、自然さを出すために、最後の仕上げとして使うこともできる。この隙バサミ一本で、カットのバリエーションはグンと厚みをます。これも店長から教わったテクニックのひとつだ。
キャンディーのお尻の毛をある程度毛を落し、何度もよくコーミングをした。それからその部分を仕上げハサミでチッピングをした。チッピングとは、被毛の毛先を切り揃える作業のこと、できるだけ細かく、丁寧に・・・。


「どうかしら?」
 私はトリミング室に備え付けてある鏡の方向にキャンディーのお尻を向けて見せた。そこに写ったお尻を振り返ってみるキャンディーの顔もまんざらではなさそう。
「どう?気に入った?」
 するとキャンディーは小さく鼻を鳴らして答えた。
「まぁまぁって所ね。最初はこんな物かちら。」
 思わず苦笑いをしてしまったけど。キャンディーに気に入ってもらえたことがうれしかった。
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