水色のエプロン
「ワンちゃん用のこんなおもちゃもあるんですね。確かに何も無いところで一日中過ごしてるなんて。私でもつまらなくなっちゃうわ。これいくら?キャンディーに一つお土産に買って帰るわ。」
 私は心の中でつぶやいた。(よかったねキャンディーママがおもちゃを買ってくれたよ。)こっそりとレジを打ちながらキャンディーの顔をのぞき見るとちぎれんばかりにしっぽを大きく振っていた。
「今キャンディーちゃんをお連れしますね。」
 トリミング室のゲージからキャンディーを抱きかかえながら私は小声でキャンディに語りかけた。
「ママがおもちゃを買ってくれたよ。もうイライラしてママの手を咬もうなんてしちゃだめよ。」
「わかったわ。わかったから。早くママのところへ連れて行ってちょうだい!」
 キャンディーのしっぽはもうふりふり。
「お待たせいたしました。」
 小林さんも、シャンプーブローの終わったキャンディーの姿を見てニコニコ顔をしていた。
「キャンディーちゃん、カットした後のぷりぷりしたお尻を褒められるのが大好きだって言ってくれました。」
「え?どうしてそんなこと知ってるんですか?」
 思わず口を滑らせキャンディーに聞いた言葉を小林さんにい言ってしまった。
「あっ・・・。いやっ・・・。なんとなくそうかなって思って。」
 私が笑ってごまかすと。小林さんも一緒に笑顔になった。
「ありがとうございました。」
 
 小林さんとキャンディーがお店から出て行くのを私は見送った。
< 47 / 132 >

この作品をシェア

pagetop