水色のエプロン

時計の針は二時間丁度、すると扉のベルがカラカラとなりゆっくりと開かれた。
「いらっしゃいませ。」
「こんにちは、二時から予約をしていました。野崎ロビンです。」
「お待ちしておりました。」
　野崎さんの持つリードの先を見下ろすと。そこにはスムースダックスに似た茶色の犬がおどけた表情をして私のことを見上げていた。
「本日はシャンプーコースのご予約ですね？」
「はい。」
　そう言って野崎さんは、私にロビンが繋がれたリードを手渡した。
「一時間くらいで終わるかな？」
「はい。」
「それでは少し買い物をしてきますので。一時間後にまた迎えに来ます。」
「かしこまりました。それではロビンちゃんお預かりします。」
　野崎さんは、紳士的で、やさいしい笑みを浮かべ、静かにお店を後にした。
「さぁ。ロビン。パパがお迎えに来る前に綺麗にシャンプーしましょうね。」
　ロビンは小さくなってブルブル震えながら、こちらを見上げていた。
「大丈夫よ、そんなに怖がらなくたって。」
　私は静にロビンを抱き上げた。
「本当にスムースのダックスフンドみたい。」
　スムースとは、被毛の長短の長さのこと。被毛の長短によって、ロング、スムースなどに分けられる。スムースは短毛のこと。犬種によってはスムースの反対にロングコート（ヘアー）などと言う呼び方がある。毛の短長を表す言葉は他にもラフコートやブロークンヘアーなどというものもある。その言い方は犬種や毛質によって使い分けることが多い。