水色のエプロン
ロビンは、ちょっとはにかんだような表情で何も言わずに、そっと私から目をそらした。ロビンは恥ずかしがりやで、とってもやさしい子なんだ。私は恥ずかしがりやのロビンが、少しでも私にお話をしてくれたことがとてもうれしかった。
「なかなか乾かない密な毛はきっとお父さん譲りね。ママもきっととっても優しかったから。ロビンはこんなに、おりこうさんなのかしらね。昔学校の先生でこんなことを言っている先生がいたわ。MIX犬は優性の子が多いって。次代にそのワンちゃんの、いいところが遺伝しやすいんですって。ロビンみたいなかわいくて性格のいい子を見ていると、その話は本当なのかしらって思っちゃうわ。」
 ロビンはそれ以外のことは私に何も教えてはくれなかった。だけ
どまたいつか逢えるなら、きっと少しずつ、もっと仲良くなれるよ
うな気がした。
 ブローも終わり、仕上げにロビンに似合うかわいらしいチョーカーを付けてあげた。ゲージの中でもロビンはとってもいい子で、無駄吠えをすることも無く。静に時は流れた。やがて時間は過ぎ。ロビンの飼い主さんの野崎さんがお迎えにやって来た。
 シャンプーの御代を頂き。ロビンを野崎さんのもとに差し出した。
「かわいい首飾りを貰ったんだね。」
 野崎さんが、ロビンを優しい顔でそっと抱しめた。
「この子はペットショップでMIX犬として売られていた子でね。シャンプーを嫌がったりはしませんでしたか?」
「いいえ、トリミング中もとってもおりこうさんにしてくれました。」
 私の言葉に野崎さんがもう一度微笑んだ。
「それはよかった。」
 野崎さんがゆっくりとお店の扉を開けた。
「ありがとうございました。」
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