水色のエプロン
「ノート?そうだ、二階の物置に、確か誰かが勉強しながら書き込んでいたノートを見たことがあったぞ。」
 今度はフレディーが小さな声でつぶやく。
「え?それどんなノート?」
「オイラにそんなこと聞かれたってわかるはずが無いだろう。」
 フレディーはそう言ってそっぽを向いた。
「いいわ、何でも、それ私もちょっと見てみたい。フレディーそのノート何処にあるの、私にそのノートのありかを教えて。」
「ふん、仕方ないなぁ。」
 フレディーはフンと鼻を鳴らして、ゆっくりと立ち上がった。
「階段のドアを開けておくれよ。」
「わかったわ。」
 私はさっと、フレディーの前に立ち、エプロンを探しにさっき上がった二階へと続く階段の扉を開けた。
 フレディーは、のしのしと確りした足取りで階段をあがった。フレディーのふさふさしたしっぽに続き、私も二階へ続く階段を上った。
「う~ん。あれを見たのずっと前だったからな。」
 二階に上がると、フレディーは首をかしげながら部屋を見渡した。
「え?お願い頑張って思い出してフレディー!」
「わかってるって、そんなに急かさないでくれよ・・・。」
 私は黙って階段の途中からフレディーの後姿を見つめた。
「あ!?何処かに黒い箱があったんだ。その中にいくつか入っていたんだ。」
「黒い箱?黒い箱を探せばいいの?」
 フレディーはこっちを振り向き、面倒くさそうな顔で私に頷いた。
 私は残りの階段を駆け上り、さっきフレディーがしていたように部屋を見渡し黒い箱とやらを探した。だけど一目では見つからない。
「どのあたりにあったか思い出せない?」
「たしか、あっちの方。」
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