水色のエプロン
私はそう自然と店長に質問をした。
「そんなこと聞くって事は、引き受けてくれるって事でいいわね?」
 店長はそう言ってまた笑った。
「ちょちょと、、まだ何も言ってませんよ!ただ少し気になっただけです!」
「気になったらすぐ行動!いろいろ経験できるのは若いうちだけよ。早速来週の月曜日からここへ行ってきてね。」
 そう言って店長は私に一枚の地図を渡した。
「ちなみにそのオーナーさんの名前は重倉俊夫さんて言うんだけど、今は入院中だから、とりあえず緊急で梓ちゃんが一人でお店を切り盛りしてもらうことになるわ。」
 店長は私の肩をポンと叩いた。
「えぇぇ、一人でですか!?初めていくお店で?しかもその重倉さんでしたっけ、その人に会えなかったら何の意味も無いじゃないですか?」
「そんなこと無いわよ。梓ちゃんが経験できることはきっと沢山あるはずよ。」
 そういって店長はまたにっこりと微笑んだ。
私はトリマーの専門学校を卒業してから、この店でしか働いた事が無い。このパピーズハウスでしか。一人で仕事をするなんて、自信ないない。
「でも、一人だなんて、、、。」
 私が自信なさ気にうつむくと店長はもう一度私の肩を叩いた。
「大丈夫!言い忘れたけど梓ちゃん一人ぼっちじゃないわ。」
 なんだ、他にもアシスタントさんか何かがいるのか、私はそう思い、その言葉に少しほっとした。
「誰か他にもいらっしゃるんですか?」
「いるわ、重倉さんが飼っている、お店の看板犬のサモエドのフレデリックがね。」
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