水色のエプロン
シャンプーをしてブローを終わらせた。
「いよいよカット・・・。」
 私は空いているもう一つのトリミングテーブルにポアロのカルテと、シュナウザーのページを開いたノートを並べた。
「シュナウザーのクリッピングの手順。まずは、バリカンのミリ数は小さいものから使用する。」
 カルテを見ると、背中3ミリと書かれていた。ひとまずプラッキング(体の毛を抜くこと)をしなくていいことにほっとした。スタンダードのシュナウザーは脱色を防ぎより硬い毛を生やすために、プラッキングを行なう。シュナウザーの毛色はソルト&ペッパー(塩コショウ)しかしペットで飼われている犬の場合、スタンダードの毛色、毛の硬さより個々の可愛らしさのほうが求められがちで、プラッキングを行うことはほとんど無い。
そうしたら、まずは耳から。耳は淵や、袋になっているコヨウの部分をバリカンの刃で引っ掛けて怪我をさせやすいから、慎重に、手のひらを台にして、耳を持ち、耳と平行に淵に向かってバリカンを動かす。耳が終わったら2ミリの刃に変える。顔は今バリカンで取った耳の付け根から、目じりの一センチ手前につなげて逆剃りをする。そして星座をつなぐようにそこから口角の一センチ手前までのラインを引く、左右を対象に。胸のラインは胸骨端の上からU時に逆剃りをする。その時に胸の両サイドにある旋毛を出さないようにするのがポイント。
 手順に従い、何度も位置を確かめながらバリカンの刃を入れた。
 両サイドの口角のポイントをつなぐ時に、顎下に口先に向かうように少しV字に刈り込みを入れると、ウイスカー(髭)が落ち着いて綺麗に整う。と、ノートに書き込まれていた。私はそれに従いバリカンを動かせた。
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