君ノ声
【水遊びでもしませんか?】
…はぁ?
その文字を見た瞬間、そんな間抜けな声が思わず口から飛び出しそうになって、グッと堪えた。
訳が分からない。
この女の脳内がミクロほども理解できない。
ビビッてたさっきのあの視線はどこへ消えたんだろう?
女の瞳には恐怖どころか好奇心に似た輝きが映されていた。
まるで迷子になっていた子犬が飼い主を見つけて、尻尾を振りながらダッシュで近寄って行くような、そんな感情を感じた。
…うざ。
俺はため息1つ零し、何も答えないままポッケから携帯を取り出していじり始めた。