君ノ声
〝そうか〟は顔をまだほんのり赤く染めたまま俺と向き合い、体を大きく〝く〟の字に曲げた。
そして勢いよく顔を上げると、片手を胸の前からどけ、俺の膝の上にあるタオルを掴んで俺の頭にかけた。
「そうか…?」
友達は不安そうな声を出す。
しかし〝そうか〟は俺を見つめたまま、パクパク口を開閉させた。
〝ご め ん な さ い〟
分かってしまった。
伝わってしまった。
人との関わりが少ない俺にそんな能力はなかったはずなのに、どうしてか、分かってしまった。
「…そうか、行こう」
どうしても俺に関わりたくないらしい友達は、今度こそ強く手を引っ張った。