君ノ声
白と黒の違い
異臭が鼻を掠める。
甘ったるい臭い。
気持ち悪くて吐きそうだ。
俺は閉じた瞼をゆっくり開けていく。
まず閉めたはずのカーテンが大きく開かれているのが目に入った。
そして――――…
「…はぁ」
思わずため息が零れた。
最悪の目覚めだ。
「あっ! 今ため息したでしょっ?!」
俺の上に跨る女が甲高い声で騒ぐ。
苦しかったのはこの女のせいだったのかと理解した。
「もーうっ!! 恭介ってばぁっ!!」
女は俺が起きたことを良いことに、ぐんっと顔を近づけてきた。
いきなりの近距離に、吐きそうになるほどの甘ったるい臭いが強くなる。
ブラウンに染められたストレートの髪が、俺の首筋に触れ、ゾワッと何かが背中を這い上がってくる。
ガッツリと開かれた胸元のせいで、見たくもないものが俺の視界いっぱいに広がる。