君ノ声
第1章
走り出した運命
「――――ふあぁ…」
零れるのは大きなあくび。
大きく開いた口を隠すことなく堂々とあくびをする俺は、傍から見ればふざけた野郎だと思われるのだろうか。
けれどそう思われる問題はあくびじゃない。
太陽が真上にやってきた今。
夏が近づいているせいでジリジリと太陽が照りつける。
そんな中を大胆に第三ボタンまで開けて、なおかつシャツ出しに腰パン、ついでに言えば踏み潰したローファーで道を歩く俺を、大人たちはこう呼ぶんだろう。
『不良』
みんな言う。
口を揃えて言うだろう。
自分で言うのもなんだが、俺の中に規則というものは存在しない。
むしろそんなものが存在したら、こうして俺は太陽が真上に来るころには学校で授業を受けていることだろう。
お分かりのとおり、これから登校だ。