君ノ声




開いたドアからヒョコッと中を覗くように顔を見せたのは〝そうか〟。


〝そうか〟と俺の視線が絡む。



「……っ!」



瞬間、驚いたように肩を跳ね上げたのが分かった。



そりゃそうなるだろう。



密室の保健室のベットの上に男女2人が体を絡ませている。


傍から見れば、このまま女が俺を押し倒すようだろう。



誰がどう見たって、この状況はイチャイチャしてます、だ。



俺たちの姿を見た瞬間ヤバイと思ったのか、慌てて保健室から退室しようとするもんだから、俺も慌てて口を開いた。



「出て行かなくていい」



早口でそう告げれば、〝そうか〟は驚いたように肩をビクつかせたが、足を止めそろりと視線を保健室内に戻した。






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