君ノ声



赤面するどころか、本気にしたのか。


真剣な顔つきのまま顔を近づけてきた。



「………!」



じっと見つめられ、思わず驚いて目を見開いてしまう俺。



〝そうか〟は躊躇することなく顔を寄せてくる。




…は?


…え?




〝そうか〟ではなく、状況を全く理解できない俺の方が動揺している。



嘘に決まってんだろ、なんて言って逃げようかと思ったけれど、なんだかそれじゃあ情けないと思ったから、状況が理解できないまま固まることしかできなかった。



ジーっと見つめられる。


顔が近寄ってくる。



さっきの女とは比べようがない顔立ち。


申し訳ないが、可愛いとは言えない顔が迫ってくる。



ドキドキなんて緊張するはずはないのに。



なのになぜだろう?



…若干ドキドキする。





< 39 / 52 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop