君ノ声
「…っちぃ…」
照り付けてくる太陽がウザったい。
俺は特に何も入っていない、ペッタンコの鞄を持っていない方の手でシャツの襟元をパタパタさせ、少しでも涼しくなるように努力してみる。
多少は涼しいけれど、結局のところ、周囲の空気が暑いからたいして意味はなかった。
分かってたけどやってみた。
ジリジリと太陽は俺を休むことなく攻撃してくる。
成す術のない俺はローファーを引きずるようにして、いかにもダルそうな足取りで進んでいく。
暑い。
ダルい。
ウザったい。
こんなことなら学校なんて休めばよかった、なんて今更ながら思った。
自転車で来れば良かったとも思った。
どうして今日に限って徒歩なんかで来てしまったんだろう。
頭の隅で考えて思い出す。
…ああ、そうだった。
自転車の鍵がなくて、仕方なく徒歩になってしまったんだってことに、何故か今思い出した。
この気温のせいで脳みそが溶け出してしまっているのかもしれない。