君ノ声
〝そうか〟は俺の不自然な行動を疑問に思ったのか、首を傾けたままボードに、
【さっきの女の子の毛が付いてたんだよ?】
長い髪の毛を摘んだまま、もう片方の手でそう書いた。
俺は目を点にして固まり黙る。
口から何も言葉が出てきてくれないから、
「………」
呆然とボードを見つめたまま思考行動、もろもろ停止。
何かを考えることすらできない。
考えれば考えるほど、はまっていくように恥ずかしい感情が流れ出すと思ったから、わざと何も考えない。
【どうしたの?】
俺の心を全くもって理解しない〝そうか〟は、不思議そうに俺を見つめたままそう問うてくる。