君ノ声
カチンっと金属が外れる音。
同時に手中に収まる、皺1つない綺麗に正されたリボン。
乱暴に取り上げると、クシャっと握りつぶしてポッケに押し込んだ。
何が起きたのか理解していない〝そうか〟は目を丸々に見開いて言葉を失っている。
俺は顔と目線を上げ、〝そうか〟の表情を伺う。
見方によっては睨んでいるように見えるかもしれない。
暫し見詰め合い、そして気まずそうに〝そうか〟はペンを動かした。
ボードをひっくり返し、目を伏せる。