メルヘンてぃあら



「……」



自分は夢を見ているのではないかと、
自分の耳を疑った少女は目の前でシロツメナグサを編む王子に手を延ばした。



「信じてくれない…?」



触れる手前で延ばした手は、優しい掌の中に包まれた。


「ッッ…!!」


「初めて君が城に来た時から、ずっと…」
「……ない…」

「え……?」


「…好きになってはいけない」



少女は俯き呟いた。



「王子と召使が恋をするなんて…そんなの」
「そんなの関係ない」



王子の強気な口調に少女は震え、顔を上げた。



「俺は」
「違う!!!!」

「……」



少女は初めて声を荒げた。

呆気に取られる王子。
少女は瞳いっぱいに涙をこらえていた。




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