バニラ
「自分の思い通りにならないとすぐ当たり散らす奴なんだよ、アイツは。

パトロンだった俺を葵に取られたような気がして葵に嫉妬した。

ただそれだけのことだよ。

全く子供じみたことだ。」


文之は沸々と怒りを沸かせながら言い放った。


「文之、そんなふうに言わないで。
きっとママは寂しかったんだと思う。

文之とは13年間の付き合いなんでしょ。

それに比べたらあたしなんて全然…。」



文之は黙っていた。


「よし、行こうか。

お腹いっぱいになったか? 美味かっただろう。」


そう言うと文之はレジへと歩き出した。
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