バニラ
翌朝、いや、正午をとっくに過ぎた頃葵はよくやく目を覚ました。
いつもより重たい体を起こし冷たい階段をゆっくりと降りた。

葵は冷蔵庫にあったカレーライスを手にし、もう一度部屋に戻った。
口に運びながら傍らにあった携帯を見つめた。

(着信あり1件 留守番電話1件あり)

誰だろうか。またミキママだろうか・・。

まずは留守番電話を確認してみた。

「もしも~し。昨日はお疲れさま。電話に出んわ~葵たん冷たいのねぇ~愛してるよ~電話ちょうだい~文ちゃんでしたぁ!」

昨日の客だろう。終わりがけのあの端のおじさんかな?

甘ったるいこの鼻声は間違いない。

どうしよう。葵の頭の中にこの対処方法のマニュアルはなかった。






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