バニラ
それともやはり文之自身が述べたように、濁った気持ちは存在しないのだろうか?

「さぁ葵ちゃん、お店着いたよ。八時に間に合ったよ。
じゃあ早速それはめていこうか。」

文之はあっさりと車を降り、助手席の葵のドアを素早く開けた。

「どうした?」

「えっと、どの指にはめるのが正しいのかなって…。」

「左手の中指なんてどうかな?
いつかその左隣の指にはめてもらえるように俺頑張るから。」
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