バニラ
「それじゃあ、いただっきま~す!」

阿部と葵はまるで恋人のように仲睦まじく寄り添い夕飯を共にした。

こんな日々が最近続く。

葵は店の出勤の有無に関わらず阿部と毎日こうして時間を過ごした。

しかし恋のような愛のような話は一切しない。

―痒いところに手が届く―阿部はそんな存在だろうか?

それではなんだかとても都合のいい存在にしか聞こえないため葵はこの言葉は使わない。
「じゃあまた明日ね。おやすみなさい。」

葵が玄関先で阿部を見送る。

「うん。明日はお店ある日だから七時に迎えに来るよ。おやすみ。」
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