バニラ
「おはようございま~す。」

店の古びたドアを押し開け、店長と軽く目を合わせ葵はロッカーへと急いだ。

(やばい・・。時間ちょっと過ぎちゃってるし。)

きぃと鳴るそのロッカーの扉を開け、荷物を置こうとしたが中には既に他の子の荷物が入っている。

その荷物に手をやろうとした瞬間、葵は背後に視線を感じた。

慌てて振り返るとそこにはクミとカオリがソファに腰掛け、こちらを見て笑っている。


「そこ、アンタのロッカーじゃないし。」

二人はクスクスと笑ったかと思うと葵のほうへ、ツカツカと歩いて来た。



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